30年間・共に歩み丨錦織巧氏：無錫高新区の発展スピードに感心（後編）

三十数年前、『無錫旅情』という歌のおかげで太湖の真珠である無錫の美しさが日本人に広く知られ、無錫と日本の更なる交流と協力が推進された。今、無錫高新区は村田電子など230社以上の日系企業が集まっている「日系企業の高地」となった。これらの日系企業は無錫高新区というホットランドで豊かな成果を収め、絶え間ない発展をもって中日協力・ウィンウィンについてのすばらしいストーリーを物語っている。

無錫村田電子有限公司の錦織巧社長は、上述した歴史の経験者の一人である。改革開放後、いち早く無錫に進出した外資企業の一つである村田電子は64人の臨時工場から発足し、今では村田製作所の海外最大規模の製造拠点に成長してきた。2022年2月18日、無錫市と株式会社村田製作所の深い戦略的提携調印式が無錫市と日本で同時に行われ、村田電子の100億元規模の新しいプロジェクトが無錫高新区に正式に入居した。

現在、無錫村田電子有限公司の取締役社長である錦織巧（にしきおり　たくみ）氏は無錫村田電子有限公司MLCC製造統括部部長を務めたことがある。「新呉区優秀外国人社員」「無錫市人民友好使者」などの栄誉称号を授与された。 

企業と政府：お互いさま

錦織氏はすぐに無錫での生活に馴染んだようだが、異国に派遣された管理者である彼にとっては、一番重要なのは自国管理理念と無錫高新区の理念、地元従業員の仕事ぶりを最高のバランスと調和を達成させることであろう。

1994年に無錫高新区に設立された無錫村田電子は当初、従業員が64人しかいなかった。「あの時は臨時工場で仕事をしていた。とても小さい会社だった」。28年間、拡大と投資増加を重ね、工場の建築面積は当初の30倍以上にもなり、従業員数は1万人を超え、村田電子は高新区と共に成長してきた。

2020年6月に、無錫村田電子の第二工場が竣工し、業務量も生産量もかなり増加した。「会社が急成長しているときは、地元政府は黙々に後押ししてくれるが、避けられない問題や困難に直面するときは、すばやく動いて改善・解決してくれる」と錦織氏は言った。

今年4月14日未明、感染症の影響で、村田電子が日本から輸入した材料が海外に滞留してしまった。生産の第一ステップで使われるものなので、供給がすぐに回復できなければ、生産も進まなくなってしまう。村田電子は無錫市委員会、市政府に助けを求めた。企業の足元に火がついたことを知って、市と区の２レベルの政府部門は速やかに市を跨いだ調整メカニズムを動かせ、関係部門が協同して対応し、徹夜で供給保障案を検討した。高新区の関係部門は緊急に協調し、15日に現地の貨物運動ドライバーを手配した。二日もかからなく、第１ロットの材料を港から運んできて、物資運送のグリーンチャンネルを貫通させた。「高新区が長期にわたり、提供してくれた優れるビジネス環境と良質なサービスなくしては、我社がここまで発展できない。企業と政府が『お互いさま』の関係を築いたことは高新区のここ30年の発展の奇跡を成就した」と錦織氏は語った。

2020年10月19日、無錫村田電子有限会社設立25周年並び日第二工場発足式が無錫高新区で行われた。村田製作所は業界のグローバル先導者になるようと自社を後押しする高新区を揺るがなく選んだ。

無錫とともに歩む村田電子

「人間本位」は簡単な言葉だが、村田電子が社員自身の成長への関心とサポートを表した。村田電子は当該経営理念を堅持し、全員で徹底的に実施し、社員の学習と成長を重視し、文化の発展に貢献できるよう努める。ここ2年間、同社は「社会的価値と経済的価値の好循環」という方針を立て、無錫工場も同方針に基づき、多彩な活動を展開してきた。

社会公益事業に貢献するため、2019年にボランティア団体を立ち上げた。村田電子はまた外資系企業の中で濃い「中国特色」のある企業でもある。同社は積極的に党建（党組織の建設）、工建（労働組合の建設）の特色あるブランドを作り、さらに同社で江蘇省初の外資系企業にある新華書店も設立された。

中国語ができないが、錦織氏は中国人同僚、各レベルの政府関係者と仲良く、あうんの呼吸で仕事している。彼とともに仕事しているのは複数の国の言語が話せ、国際的な視野を持ち、国際ルールを踏まえて働く「高新区人」である。「ここ二十数年、無錫市、高新区はサービスレベルと仕事効率を絶えずに引き上げ、我社の発展のために力強いサポートと保障を提供してくれた。総経理として、本当に感謝している。今後、私たちは引き続き無錫で発展し、投資し、無錫高新区も更に多くの人材導入関係政策を打ち出し、より多くの海外の人材を引き寄せ、無錫の発展に貢献することを望んでいる」

無錫高新区で仕事して一番の感想とはと聞かれると、「スピードが早い」とまとめた。「日本と言えば効率的だと思われているが、実は、高新区のスピードこそ本当に驚かせるほど早い」

「早いスピード」は決断力に富むこと、奮闘すること、発展することを意味する。「的確な戦略に加え、決断がつくことで素晴らしいスピードを生み出す」と錦織氏は思っている。30周年を迎えた高新区で村田電子は低炭素、スマートな「夢工場」というビジョンに向かって新しい1ページを綴り始めた。